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1回目

高橋:私にはlong time ago ですけど、大学生になった時のうれしさってありますよね。「大学生だー」とか言ってなんかかっこつけられるじゃないですか。そういう、ただ単に成績のいい高校4年生じゃなくって、大学ってかっこいいんだ、というのはどうでしょう。生物学でもなんでも、本質を分かってほしいなとは思うけど、その一方で、そういうのはなかなか時間もかかるので、なんかこう、嘘でも大学生としてかっこつけて、肩いからして歩いてくれたり、生意気言ってくれてもいいなあと思います。それがええんや、と。まあ、私なんか読みもしないのに、ハードカバーの本を小脇に抱えて、大学生っぽく振舞って、見せびらかすとかいうのが好きだったんですけども。でもね、逆にそういう格好から、やっぱり自分は大学生なんだというのを実感したり、大学生としてbehaveすることが嬉しいと感じられたりする。そういうのはどうなんですかね。京大、なんか、ガンガンやってくれたらいいなとかって思うんですけどね。

國府:そういうのいいですよね。やっぱりこう、ちょっと自分を変えてみるっていうか、高校とは違うんだということを、行動で表すように、自覚的にやってみるっていうのは、僕はいいことだと思いますね。

長田:そうですね。私はその、まさに文系の人間だったので。大学に入ったら、第二外国語が習えるというのがうれしかったですね。だからドイツ語はそれなりに一生懸命勉強しました。それだけじゃなくて、NHKのラジオ講座で、フランス語もやるんだ、とか、それから更には、ロシア語のあの文字がいいとか言ってですね。少なくとも何ヶ月間かは一生懸命やったんですよ。それが役に立ってるかどうかはまったく分かりませんけど、やっぱりそういうふうに、「大学生になった」というのは、やっぱり必要だと思いますね。

誰か:なるほどね。

高橋:忙しいですよね。今の大学生はね。何やしら。

三輪:そうですね。だから、今度の履修登録数制限とかいうことも、一つはそんなに忙しくしないでというメッセージでもあって。授業ばかりを基準にしないで、授業は授業で、履修するものはしっかり履修するけど、授業以外のことを自分でやる時間っていうのは必ず必要。自主ゼミなんかは授業ではないわけだし。そういう、勉強の仕方については、どうですか?

國府:僕は、幸か不幸か数学と物理だけやると自分でだいたい決めてたので、迷いはなかったです。まあ、物理も実験はしませんでした。生物とか化学とかは全然取らなかったし、実はそもそもあまり講義も出てたわけじゃないです。最近、少人数担任の面談で新入生と話していると、「理学部に入って、せっかくいろいろな専門分野があるわけだから、万遍なくやってみたい」という人がけっこういます。万遍なくいろいろトライすることはいいことだけれど、でもそれをずっとあまりに均等にやってると、結局自分が何をやりたいのか、ということがなかなかわからない感じがする。バイアスというか、その時の思い込みかもしれないけれども、何か「これを自分は集中してやるんだ」というものをある程度考えながらやらないと、なかなか2年で系登録に何を選ぶかっていうところまで行かないですよね。数学なら数学、物理なら物理、生物なら生物という風に言ってても、1年経ったら途中で変わるかもしれない。けれども、やり直そうと思えばやり直せるのだから、まあそれはそれでもいいんじゃないかと思って、力を集中する部分がちゃんとあるというのがいいような気がします。それから、数学は高校の時の授業とやっぱり一番違うような感じがします。とはいっても僕は自分が高校の時に生物や物理の授業がどうだったとかはもう覚えてないんですけど。数学は、高校の時の教えられ方というか授業の丁寧さと、大学のそれとはやっぱりどうしても全然違う。そのギャップは大きいと思うんですよね。だからやっぱり、講義で雰囲気を分かった気になって、その後で自分でしっかりと勉強するというのがけっこう大事。講義だけで全部なんとか分かろうとしなくていいんじゃないかと思います。あんまりそこまで講義に頼らずに、やっぱり自分で考えるのがいいかなと思っています。

三輪:さっきの話とおんなじようなことで、広中先生に直接聞いたんだけど、「数学の理論を勉強するのに一番いい方法は、論文を書くことですよ」っていう話があって。もうそれはまさにその通りで、論文を書く時は、必要なことだけ完全に分かるっていうか、そういったことでやるから。それで二番目は、人に教えることです。さっきちょっと國府さんが言ったけど、人に話してると、自分の分かってないところがあると、そのことが分かってしまう。だから人に教えるっていうことが大事だと。そして、本を読んで勉強するのが一番大変ですということを言われてました。本を読まないで勉強するというのはあり得ないんだけど、でもそれって難しい。本は「ここが大事ですよ」と言ってくれるわけでもない。人から教わるっていう方が、本を読むよりは楽。人から教わるという時も、必ずこっちが聞き返すとか、そういった態度で臨むということであれば、非常に有効な方法かなと思うんですけどね。

國府:新しい理論とか結果とかを知る時に、論文を読む前に、その人の講演を一回聞くと論文がすごく読みやすくなるっていうのはありますよね。だから、授業もそういうところはあるんじゃないかと思うんですけどね。一番勘所を教えてもらえると。それを聞いて本を読むといいんじゃないかなって。

 


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